回復期リハビリテーション病棟から生活期へ移行した当事者の手記や、介護者コミュニティに寄せられる生の声には、教科書的な説明だけでは汲み取れない葛藤が克明に綴られています。
50代で脳出血を発症したある男性は、自身の手記で次のように振り返っています。『退院直後、妻から「外から見ると足が丸く回っていて不格好だから、もっと意識して前へ出して」と何度も注意された。しかし、意識して前へ出そうとすると爪先が絨毯に引っかかり、顔面から転倒しそうになる。足を真っ直ぐ出せない恐怖と、見た目を気にされる辛さで、一時期は近所の散歩すら完全に拒絶するようになった』
回復期の病棟を退院する段階では自立歩行が可能と判定されても、屋外の不整地やアスファルトに出た瞬間に下肢痙縮 歩行の困難さは跳ね上がります。緊張や焦り、路面のわずかな傾斜によって筋緊張が一気に亢進し、膝が完全にロックされてしまう現象です。訪問リハビリに携わる理学療法士への取材でも、「家族が良かれと思って『足を高く上げて!』と声をかけることで、かえって体幹が力み、足先が余計に突っ張ってしまう悪循環が後を絶たない」という証言が多数挙がっています。