処方箋や市販のドラッグストアで見かける「リンデロン」シリーズには、明確な成分差と用途の分岐が存在します。これらを混同して使用することは、治療の長期化や症状悪化の引き金となります。
「リンデロンV」と「リンデロンVG」の違い
名称の末尾にある「G」の有無は、抗生物質ゲンタマイシン硫酸塩(Gentamicin)が配合されているかどうかを意味します。「リンデロンV」はベタメタゾン吉草酸エステルのみを含有する単剤であり、感染症の恐れがない純粋な湿疹や皮膚炎に処方されます。対して「リンデロンVG」は、掻き壊して細菌が入り込んでいる、またはジュクジュクして二次感染のリスクが高い皮疹に対して処方されます。
市販薬「リンデロンVs」と医療用「リンデロンVG」の決定的な違い
薬局やドラッグストアで誰でも購入できる指定第2類医薬品「リンデロンVs」と、病院で医師から処方される「リンデロンVG」には極めて大きな違いがあります。
市販されているリンデロンVsは「ステロイド単剤(ベタメタゾン吉草酸エステル)」であり、抗生物質は一切配合されていません。日本の薬事法規において、ゲンタマイシン硫酸塩などの強力なアミノグリコシド系抗生物質を配合した外用薬は、耐性菌の出現を防ぐ観点から要指示医薬品(処方薬)に限定されているためです。つまり、「市販薬でリンデロンVGと全く同じ成分のものを購入することは不可能」です。
軟膏とクリームの基剤による違い
リンデロンVGには「軟膏」と「クリーム」の2つの剤形が存在し、皮膚の状態によって厳密に使い分けられます。
- リンデロンVG軟膏:白色ワセリンを主成分とする油性基剤。刺激性が極めて低く、ジュクジュクした浸出液のある傷口や乾燥してひび割れた部位の両方に安全に使用可能。患部の保護力に優れる。
- リンデロンVGクリーム:水と油を乳化させた親水性基剤。ベタつきが少なく伸びが良いため、有毛部や日中の使用に適している。ただし、ただれた部位や皮が剥けた部位に塗ると強いしみるような刺激感(疼痛)を生じるリスクがある。