フジテレビのドラマ史を語る上で避けて通れないのが、「月9(月曜夜9時枠)」の激動の歩みです。フジテレビ月9ドラマ歴代視聴率の推移を振り返ると、1990年代初頭の『東京ラブストーリー』(最高視聴率32.3%)や『ロングバケーション』(最高視聴率36.7%)、そして2001年の『HERO』(全話30%超、最高36.8%)に至るまで、驚異的な数字が並びます。当時、月9は社会現象を生み出す巨大インフラでした。
しかし2010年代中盤、メディアの多様化と録画機器の普及に伴い、世帯視聴率は一桁台へと低迷。フジテレビドラマ低迷理由と復活の経緯を検証すると、最大の要因は「世帯視聴率という単一の指標に縛られ、時代の変化に演出や設定が追いついていなかったこと」にありました。ある大手制作会社のチーフプロデューサーは当時の状況を次のように証言しています。
「かつては全世代に受ける最大公約数のドラマ作りが求められましたが、結果として誰の心にも深く刺さらない空虚な作品を生んでしまっていた。世帯視聴率の呪縛から解き放たれ、誰に向けて作るのかを研ぎ澄ましたことが転換期になりました」
局側は思い切った方針転換を断行。指標を世帯視聴率から「個人視聴率・コア層(13〜49歳)視聴率」、そしてTVerやFODをはじめとする「配信再生数」へと移行させました。その結果、目先の数字に惑わされず、エッジの効いた脚本や緻密なヒューマンドラマを愚直に制作できる土台が再構築され、見事なV字回復を果たしたのです。