物語の主人公・笹木美代(ムゲ)は、いつも底抜けに明るく振る舞い、周囲から奇異の目で見られている中学2年生。クラスメイトの日之出賢人に猛烈なアタックを繰り返す日々を送っていますが、その過剰な笑顔の裏には、実母の蒸発と父の再婚相手である薫への遠慮、そして深い家庭内トラウマが隠されていました。そんな彼女が手に入れたのが、夏祭りの夜に出会った謎の「猫店主」から授かった、猫に変身できる不思議なお面でした。
白猫「太郎」に変身したムゲは、普段は素っ気ない日之出の部屋に忍び込み、彼が無邪気に向ける優しさと温もりに溺れていきます。日之出もまた、実家の陶芸工房を巡る母親との対立や将来への重圧を、言葉を話さない白猫の太郎にだけ打ち明けていたのです。しかし、学校で日之出へのラブレターが晒し者にされた事件をきっかけに、日之出は激昂してムゲを拒絶。居場所を失ったムゲは「人間をやめて、ずっと太郎のままでいたい」と願ってしまいます。
その心の隙を突いたのが猫店主でした。猫店主はムゲの「人間の顔」を剥ぎ取り、人間の寿命を手に入れると同時に、ムゲを完全な猫へと変貌させます。一方、ムゲの家庭で飼われていた本物の猫「きなこ」がムゲの顔をかぶり、人間の美代として生活を始めます。しかし、本物のムゲが消えたことで家族や日之出が激しく後悔し、美代を探し求めている姿を目の当たりにしたきなこは良心の呵責に苛まれ、日之出に真実を告白。日之出ときなこは、猫たちの住まう異世界「猫島」へとムゲの救出に向かいます。