日本の学習者が最も陥りやすい誤解が、「run away(走って逃げる)」や「escape(脱出する)」との混同です。これらは物理的な拘束や危険な現場からの退避を指しますが、「get away with」は物理的な移動を必ずしも伴いません。その場に留まりながら、周囲の追及を巧みにかわす状況にも完全にフィットします。
もう一つの決定的な盲点は、このイディオムが「大胆な試みや型破りなスタイルを成功させる」という肯定的な文脈でも機能する点です。例えばファッションの世界では、着こなしが極めて難しい奇抜な服を堂々と着こなしている人物に対して、次のような称賛が送られます。
「Only she could get away with wearing that bright neon dress.(あんなド派手なネオンドレスを着こなしてサマになるのは、彼女くらいのものだ)」
本来であれば「浮いてしまって大失敗する(ペナルティを受ける)」はずのリスクを跳ね除け、見事に成立させたという文脈です。ルールや常識のボーダーラインを軽やかに飛び越えるニュアンスを理解していなければ、悪口だと勘違いしてしまう危険性があります。