あけびを初めて口にする人が最も驚くのは、外側の皮と内側の果肉で「味のベクトルが180度異なる」という事実です。果肉は天然のスイーツ、果皮は山菜に近い大人の滋味あふれる食材として成立しています。
中の白いゼリー状の果肉は、バナナやライチ、アケビ科特有の素朴でミルキーな甘みが特徴です。糖度計で計測すると平均16〜18度に達し、一般的なメロンやぶどうに匹敵するしっかりとした甘みを持っています。酸味はほとんどなく、とろりとした舌触りが喉を潤します。
一方、紫色の厚い果皮は、生の状態では強い渋みと苦味を持ちます。しかし、適切に油を使って加熱調理すると、ナスに似たトロトロの食感に変わり、心地よいほろ苦さとコクが生まれます。全国の出荷量の約8割を占める山形県をはじめとする東北地方では、むしろ「果皮を食べるために買う野菜」としての立ち位置が確立されています。