犬の目の周りが赤くなる背景には、皮膚表面のトラブルから眼球自体の疾患まで幅広い要因が存在します。臨床現場において特に診断件数が多い原因は、大きく分けて「アレルギー反応」「病原体による感染」「機械的刺激・摩擦」の3系統です。
第一に挙げられるのが、アレルギー性皮膚炎による目の周りの赤みです。スギやヒノキ、イネ科植物などの花粉、ハウスダスト、カビに反応する環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)は、皮膚の薄い眼窩周囲や口元、指の間に激しい炎症と痒みを引き起こします。また、特定のタンパク質(チキン、ビーフ、乳製品、小麦など)に過剰反応するフードアレルギーも、目の周りの腫れや充血の引き金として頻繁に確認されています。
第二に、細菌(ブドウ球菌など)や真菌(マラセチア)、さらには毛包虫(アカラス・ニキビダニ)やヒゼンダニといった寄生虫の感染です。特に免疫力が未発達な子犬や、加齢・持病で免疫機能が低下したシニア犬において、常在菌の異常増殖による炎症が急増する傾向にあります。
第三に、被毛の毛先が直接眼球や皮膚を刺激する「逆さまつげ(睫毛重生・異所性睫毛)」や、散歩中の異物混入、シャンプー剤の洗い残しといった物理的刺激による炎症です。これらは短頭種(フレンチブルドッグ、パグ、シーズーなど)やトイプードルにおいて特に高い発症率を示しています。