一般に公開されている観光エリアは洞窟全体のほんの一角に過ぎない。秋芳洞の測量総延長は現在判明しているだけでも10.7キロメートルを超え、国内第2位の長さを誇る。未調査の支洞や水没した水中洞窟を含めれば、その全貌はさらに広大だと推測されている。
洞内奥深くに広がる未公開エリア「琴ヶ淵」の先や、天井裏に複雑に分岐する上層洞穴群は、学術調査隊や限られたスペシャリストのみが足を踏み入れることを許された絶対領域だ。頭上数十メートルに及ぶ広大なドーム空間「千畳敷」の裏手には、地下水脈が複雑に交差する迷宮が存在し、最新の3Dレーザースキャン調査によって新たな空洞が次々と発見されている。静寂と水音だけが支配するこの地下世界は、現代においてもなお地図が描ききれていないフロンティアなのだ。