日本人の間で広く知られていた中国食事マナー残す理由は、ホスト(招待側)の面子(メンツ)を重んじる文化に根ざしていました。「食べきれないほど豊富なごちそうでもてなしてもらった」という感謝と敬意を示すため、あえて一口残すことが客側の教養とされていた時代が確かに存在します。しかし、中国食事マナー現在は180度転換しています。
この劇的な地殻変動の引き金となったのが、2021年4月に施行された「中華人民共和国反食品浪費法」です。中国政府は過剰な宴会による浪費や食料安全保障の危機を是正すべく、飲食店に対して過剰注文を誘導した疑いがある場合に最高1万元(約20万円)の過料を科すなど、罰則規定を伴う厳格な法執行に踏み切りました。さらに、国家的なスローガンとして展開された「光盤行動(クアンパンシンドン)」が学校教育からSNS、職場にまで浸透した結果、社会全体の規範が塗り替えられたのです。
中国光盤行動とは、文字通り「お皿を空っぽにする(光)」ことを美徳とする国民運動です。かつてのように料理をわざと残す行為は、現在では「教養に欠ける浪費」「時代遅れの悪弊」として厳しく白眼視されます。現代の会食では、適量を注文して食べきるか、食べきれなかった分は気後れすることなく持ち帰る姿勢こそが、スマートな大人のマナーとして定着しています。