地球を征服するために颯爽と降り立ったはずのニコちゃん大王が、なぜ長きにわたってペンギン村で貧乏生活を余儀なくされたのか。その原因こそが、読者の脳裏に焼き付いている「宇宙船を食べたガッちゃん」との衝撃的な遭遇です。
地球に着陸した大王と家来の前に現れたアラレとガッちゃん。威嚇する大王たちを他所に、ゴム以外のあらゆる物質を噛み砕くガッちゃんは、超合金で作られていたはずの大王の最新鋭宇宙船を「バリバリ、クチャクチャ」と平らげてしまいました。移動手段を一瞬で失った大王は、怒る気力すら奪われ、地球という未開の惑星で自給自足のサバイバルを強いられることになります。
生活費を稼ぐため、大王と「ニコちゃん大王の家来」は農作業の手伝いや土木作業、ペンギン村の奇妙なバイトに精を出します。家来は大王に絶対的な忠誠を誓いながらも、時折的を射た冷酷なツッコミを浴びせるという絶妙なパートナーシップを形成。二人は掘っ立て小屋に身を寄せ、たくましく地球の庶民文化に適応していきました。
そしてファンが気になる「ニコちゃん大王の最後と結末」ですが、彼らは永遠に地球に取り残されたわけではありません。則巻千兵衛の発明品や紆余曲折の支援によって、ついに念願の新型宇宙船を手に入れ、涙と歓喜の中でペンギン村を旅立ち、故郷である「ニコチャン星」へと帰還を果たします。
しかし、そこで終わらないのが鳥山ワールドの真骨頂です。数年ぶりに降り立った母星では、出迎えた国民全員が頭がお尻の姿であり、大王自身が地球で培ってしまった「地球人の感覚」から激しいカルチャーショックを受けることになります。さらには、故郷へ戻った安心感も束の間、地球での泥臭い暮らしやペンギン村の住民たちとの温かな日々を思い出し、「地球のほうが良かったのではないか」と切なさを滲ませる幕切れが描かれました。侵略者と被侵略者という対立を超えた、ユーモラスで哀愁漂う見事な着地でした。