2024年9月、世界の囲碁界に激震が走りました。「囲碁界のオリンピック」と称される世界メジャー棋戦「第10回応氏杯世界プロ囲碁選手権」の決勝五番勝負において、一力遼は中国のトップ棋士・謝科九段を3連勝のストレートで撃破。日本勢としては2005年の張栩九段以来、実に19年ぶりとなる世界メジャー制覇の快挙を成し遂げました。長く中国・韓国の厚い壁に阻まれ「冬の時代」と囁かれていた日本囲碁界の鬱屈を、わずか27歳(当時)の若武者が一撃で打ち破った瞬間でした。
この世界一奪還という歴史的ニュースを経て迎えた2026年現在、一力遼の国内タイトル戦線における存在感は揺るぎないものとなっています。最高賞金を誇る棋聖戦の防衛記録を伸ばし、本因坊戦などでも頂点に位置。長年日本囲碁界を牽引してきたレジェンド・井山裕太九段とのライバル関係は「井山一強」から「一力・井山の二強激突」、さらには一力の主導権掌握へと明確にシフトしました。
通算の対局成績を見ても、二十代前半までは井山九段の分厚い壁に跳ね返される局面が目立っていたものの、近年はタイトル戦の大舞台で勝ち越しを記録。対局後の会見で一力が見せる「世界水準のAI研究を取り入れつつ、自らの直感と大局観を信じ抜く」という冷静な佇まいは、世界の頂点を極めた者特有の圧倒的な風格を漂わせています。