江戸時代の「八つ時」と生体リズムの科学が揃っていたとはいえ、それが「三時のおやつ」という明確なフレーズとして日本全国の共通認識となった背景には、昭和のテレビ文化が果たした大きな役割があります。その立役者となったのが、老舗カステラメーカーである株式会社文明堂のテレビCMです。
1962年頃から放映が開始されたこのCMでは、仔熊(操り人形)たちが軽快なカンカンダンスを踊る映像とともに、「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂」というリズミカルなキャッチコピーが流れました。作詞を手がけた名コピーライターによるこのフレーズは、当時急速に普及していた白黒・カラーテレビを通じて、瞬く間に全国のお茶の間に浸透しました。
文明堂の公式社史や当時のメディア資料を振り返ると、このCMは単に商品の認知度を高めただけでなく、「午後3時になったら甘いものを食べて休憩する」というライフスタイルそのものを日本人の意識に決定づけたと評価されています。伝統的な生活習慣とメディアの演出が見事に合致した結果、今日に至る国民的な文化コードが完成しました。