館内に入ると、まず目を奪われるのが庭園に広がる赤い石、そして池を泳ぐ鯉だ。横尾忠則の作品世界を象徴する「赤」は、単なる色彩ではない。それは血液であり、情熱であり、同時に死への予兆でもある。ガラス越しに見る庭園は、光の加減によって刻々とその表情を変える。まるで生き物のように蠢く空間だ。
展示されている平面作品や、かつての母屋、倉、納屋を改装した展示スペースは、それぞれが独立しながらも、一つの巨大なインスタレーションとして機能している。生と死は背中合わせであるという横尾の死生観が、ダイレクトに脳内に流れ込んでくる感覚。訪れた者は皆、言葉を失い、ただその空間に立ち尽くす。