1971年、里見浩太朗は二代目・佐々木助三郎役に抜擢された。スラリとした長身にしなやかな身のこなし。悪党を薙ぎ払うスピード感あふれる太刀筋は、瞬く間に全国の視聴者を虜にした。約16年間にわたって助さんを務め上げた彼の姿は、まさに若き武士の理想像そのものだった。
だが、物語はそこで終わらない。2002年に放送された『水戸黄門 第31部』において、彼は五代目・水戸光圀として堂々の帰還を果たす。「かつて仕えていた主君の座に、長年仕えた家臣が就く」。長寿番組の歴史において前例のないこの大抜擢は、日本中に大きな衝撃と歓喜をもたらした。
かつて自分が「助さん、格さん、懲らしめてやりなさい」と命じられていた立場から、今度は自らその号令を下す。『ナショナル劇場 水戸黄門』の看板を背負い直すプレッシャーは計り知れなかったが、里見は気負うことなく、歴代で最もアクティブで親しみやすいご老公像を確立してみせた。