1937年冬、戦火に包まれた南京市内で密かにカメラを回し続けた男がいた。アメリカ人宣教師のジョン・マギーである。彼が手持ちの16ミリシネカメラで撮影した映像群は、市内の惨状を克明に記録した極めて稀少な動く一次資料として知られる。
マギー牧師は、難民救済に奔走した南京安全区国際委員会のメンバーでもあった。身の危険を冒してフィルムに収められたのは、鼓楼病院に運び込まれる負傷者たちの生々しい姿や、破壊された市街地の光景だ。その記録は極秘裏に上海へと持ち出され、世界各地へ伝えられた。この映像は単なるプロパガンダ映画とは一線を画す、現場の切迫した状況を生々しく伝える報道写真・フォトジャーナリズムの原点ともいえる性格を持っている。