口から入った微粒子は、ただ体内を素通りするだけなのか。その楽観論は崩れつつある。
粒子がナノサイズまで極小化すると、生体バリアをすり抜ける能力が格段に跳ね上がる。腸壁の細胞間隙を通過し、毛細血管から血流に乗り、肝臓、腎臓、さらには脳や胎盤にまで到達することが動物実験や生体組織サンプルの分析で相次いで確認されている。学術誌ネイチャー(Nature)をはじめとする主要な科学誌でも、微細プラスチックの細胞内取り込みと毒性メカニズムに関する論文が急増している。
環境毒性学・公衆衛生の専門家が特に懸念を示すのは、プラスチック自体の物理的刺激による慢性炎症と酸化ストレス、そして原料に含まれる添加剤(可塑剤や難燃剤)がもたらす内分泌かく乱作用だ。ナノ粒子が細胞膜を傷つけ、免疫細胞を過剰に刺激し続けることで、長期的にどのような病理的帰結をもたらすのか。全容の解明には時間を要するが、「無害である証拠」はどこにも存在しない。