トム・スターリッジの真価は、一癖も二癖もある異色の作品で発揮されてきた。若き日に出演した『パイレーツ・ロック』では、60年代の海賊ラジオ局を舞台に、音楽と青春に揺れる繊細な青年を瑞々しく演じきった。あの作品で見せた可憐さと青臭さは、今も多くの映画ファンの胸を打ち続けている。
一方で、サスペンスフルな異色作『ヴェルヴェット・バズソー』では、欲に目が眩んだ現代アート業界の若手ブローカーを怪演。毒のある役柄も見事に消化してみせた。ジャンルに縛られない柔軟なカメレオンぶりは、彼の役者としての底知れなさを物語っている。