手首を反らすとなぜ指が曲がる?テノデーシスアクションの仕組みと臨床に関する質問を徹底的にまとめました。専門的な情報をご覧ください。
頸髄損傷のリハビリテーション計画を策定する際、神経損傷レベルごとの残存機能の差異を正確に評価することが不可欠です。以下に、第5頸髄節(C5)から第8頸髄節(C8)までの機能的特徴と、テノデーシスアクションの臨床的適応度を構造化して示します。
損傷レベル(残存高位)主要な残存筋と運動機能テノデーシスアクション適応度生活自立度(ADL)の到達目標C5レベル三角筋、上腕二頭筋(肩の外転、肘の屈曲が可能)適応不可(手首の背屈筋が麻痺しているため発動不能)食事や整容には万能カフなどの自助具と介助が必須C6Aレベル(Zancolli分類)長橈側手根伸筋(手首の背屈が可能だが力は弱め)適応可能(軽負荷の把持動作を中心に獲得を図る)装具支援を併用し、部分的な食事・身の回り動作の自立C6Bレベル(Zancolli分類)短橈側手根伸筋、円回内筋(手首の強力な背屈と回内が可能)最良の適応(強力な受動把持を獲得できる黄金領域)車椅子駆動、移乗、整容、食事など広範なADLが自立可能C7レベル上腕三頭筋、橈側手根屈筋、総指伸筋(肘伸展、指伸展が可能)補助的利用(能動的な開手が可能だが指屈曲力は不足)プッシュアップによる移乗自立、自動車運転の自立C8〜Th1レベル深指屈筋、浅指屈筋、手内筋群(手指の完全な能動屈伸)適応不要(自身の神経指令で直接指を曲げられるため)手指の巧緻動作を含め、身の回りの動作はほぼ完全自立
データが明瞭に示す通り、テノデーシスアクションが臨床上の最大の主役に躍り出るのは、まさに「C6」という境界領域です。肘を伸ばす上腕三頭筋や手指を曲げる筋肉が働かない極限状態において、残された手根伸筋のパワーを極限まで引き出して把持力へと昇華させる作業療法の技術が、患者の生活自立度(FIMスコアなど)を劇的に押し上げる原動力となります。