そもそも、なぜこのような途方もない壁が建設されたのでしょうか。その発端は、およそ100年前に起きた巨人大戦の終結時に遡ります。エルディア帝国の残虐な侵略の歴史に絶望した第145代エルディア王カール・フリッツ(パラディ島における初代レイス王)は、自らの手で争いに終止符を打つことを決意しました。
カール・フリッツが壁を作った理由は、敵対するマーレや世界と戦うためではありません。一部のエルディアの民を率いて絶海の孤島パラディ島へと退却し、記憶改竄によって過去を忘れさせた上で、「滅びを受け入れるまでの束の間の楽園」を作り上げることが目的でした。
王は「不戦の契り」を交わし、自らの思想で後継者の自由意志を縛ると同時に、外部の世界に対しては「もし我々に干渉するならば、壁に潜む幾千万の巨人を放ち世界を平らに踏み潰す」という偽りの脅迫声明を出しました。つまり三重の壁は、人類を守る盾ではなく、王が自虐的な平和を享受するために作り出した「都合のいい鳥籠」だったのです。