King GnuのMVやステージにおけるスタイリングの真髄は、古着の着こなしにおける「文脈の編集力」にあります。彼が好むのは、高円寺や下北沢、あるいは原宿のアーカイブショップで発掘されるような、年代やカルチャーが刻まれたヴィンテージウェアです。
一般的な古着スタイルが「アメカジ」や「ユーロワーク」といった単一のジャンルに収束しがちなのに対し、常田スタイルはそれらを徹底して解体します。80年代の米軍ミリタリーアウターの下にクラシックなテーラードスラックスを合わせ、足元には履き込んだスニーカーを配する。このように、「作業着・軍服(機能性)」「スポーツ(軽快さ)」「ドレス(格式)」という異なる歴史的文脈を持つアイテムを1つのルックの中に同居させます。
私服コーデにおけるカラーパレットも計算されています。ブラック、チャコールグレー、ダークオリーブ、スモーキーブラウンなどのアースカラーやダークトーンをベースに据え、トラックジャケットのサイドラインやインナーのプリントで僅かに原色を差す。この抑制された色彩設計が、古着特有の野暮ったさを払拭し、都会的な洗練へと昇華させています。