延命治療を選択せず、自然な経過の中で苦痛を和らげる「看取り(ターミナルケア)」を選択した場合、誤嚥性肺炎の終末期にはどのような経過をたどるのかを事前に知っておくことは、家族の心理的負担を軽減するために欠かせません。
肺炎が末期段階に達すると、呼吸困難感に対して身体の代謝が徐々に落ちていきます。呼吸のパターンは浅く速い頻呼吸から、徐々に深くゆっくりとした呼吸、そして下顎を上下させて息を吸い込むような「下顎呼吸(かがくこきゅう)」へと移行します。喉の奥に分泌物が溜まることで「ゴロゴロ」という喉鳴り(死前喘鳴)が生じることもありますが、本人の意識レベルはすでに低下しており、見た目の印象ほど苦痛を感じていないケースが一般的です。
末期症状の段階では、過度な点滴や無理な痰の吸引が逆に体液過剰を招き、肺浮腫や気道分泌物を増やして呼吸苦を悪化させることがあります。現代の終末期医療では、必要最低限の補液管理と適切な医療用麻薬や鎮静薬の使用により、呼吸困難感を最小限にコントロールしながら穏やかに見守るアプローチが標準となっています。