目黒川沿いの洗練されたショップやコーヒースタンドとは一線を画し、上目黒の路地にひっそりと佇むこの空間には、流行消費では測れない吸引力があります。外観は日本の伝統的な木造建築の骨組みを色濃く残しながらも、漆喰の壁、年月を経て味わいを増した木製ドア、鉄サッシの格子窓が見事に調和し、独特の陰影を生み出しています。
扉を開けた瞬間に広がるのは、香ばしい小麦の香りと、オリジナルブレンドのアロマが織りなす奥深い空気感です。1階フロアには焼きたてのハード系ブレッドやスコーンが並ぶベーカリーカウンター、手作りのジャム、厳選されたオーガニックハーブティー、そしてオリジナルのla vie a la campagne アロマキャンドルやリネンウェアが配置されています。階段を上った2階は、ヨーロッパ各地の蚤の市で買い付けられたアンティークテーブルや不揃いのチェアが並ぶカフェダイニングとなっており、使い込まれた古材のぬくもりが訪れる者の緊張を解きほぐします。
単に「レトロ」「ノスタルジック」と形容するだけでは捉えきれないこの空間強度は、計算された光の採光と素材選び、そして生活の道具としての調度品が醸し出す「暮らすように過ごす時間」の演出によって生み出されています。