この慣用句の正しい読み方は「いずれあやめにかきつばた」、あるいは「いずれあやめかかきつばた」です。現代の常用漢字表において「菖蒲」は「しょうぶ」と読まれるケースが圧倒的ですが、この故事成語においては必ず「あやめ」と訓読みします。端午の節句で湯舟に入れる「菖蒲(しょうぶ)」はサトイモ科の別植物であり、アヤメ科のアヤメとは植物分類上まったく異なる存在です。
言葉の本来の意味は、「どちらも優れていて優劣がつけにくく、一方が他方に劣らないため選択に迷うこと」を指します。とりわけ古典的な用例では「容姿端麗な女性が2人並んでおり、どちらも甲乙つけがたい美しさである」という文脈で愛用されてきました。現在では女性の美貌に限らず、傑出した実力を持つライバル同士、あるいは同等に魅力的な二つの選択肢を評価する場面へと活用の幅が広がっています。