「小鳥遊」を「たかなし」と読む仕組みは、漢字の音訓読みではなく、情景描写から状況を逆算させる「なぞなぞ(判じ物)」の技法によって成り立っています。
その思考プロセスを分解すると、以下のようになります。
- 情景:野山で小さな鳥たちが群れをなし、楽しげに遊んでいる(小鳥遊)。
- 条件:小鳥にとって最大の天敵である猛禽類の「鷹(タカ)」がいないからこそ、襲われる危険がなく遊ぶことができる。
- 連想:「鷹がいない」=「鷹無し(たかなし)」。
このように、「小鳥が遊んでいる情景=鷹がいない状態」という風流な連想ゲームを通して、「たかなし」という音を導き出しています。古代から中世の日本においては、こうした機知やユーモアを利かせた文字の当て方を「戯訓(ぎくん)」と呼び、万葉集の和歌などにも見られる高度な言語表現として親しまれてきました。