2018年7月2日、ロストフ・ナ・ドヌで行われた決勝トーナメント1回戦ベルギー戦。2点を先行しながら後半アディショナルタイムにカウンターから逆転を許し、2-3で惜敗した直後、本田圭佑はミックスゾーンで静かに代表引退を表明しました。当時32歳。まだトップレベルで戦える力を残しながらも、下された決断の背景には極めて合理的かつプロフェッショナルな判断がありました。
当時のインタビューや関係者の証言によると、本田は「4年後のカタールW杯を目指すチームづくりにおいて、自分が中途半端に関わるべきではない」という明確な信念を持っていました。自身のフィジカルコンディションの維持や選手としてのピークを見極めつつ、次世代の若手選手たちが中心となって世界を獲るためのスペースを空ける必要性を痛感していたのです。エゴイスティックに見られがちだった男が選んだ引き際は、チーム全体の未来を最優先に考えた極めて誠実なものでした。