これら先鋭的かつ強烈な表現の舵を取ったのが、アニメーション監督・幾原邦彦氏です。幾原邦彦監督の演出意図の根底にあるのは、「少年少女が作られた檻(ジェンダー観や固定観念)を壊し、外の世界へ踏み出す痛覚」を映像化することでした。
学園という閉ざされた社会、階段を昇る決闘場、回り続ける巨大な歯車、そして鳴り響くJ・A・シーザーの合唱曲。緻密に計算された美術と舞台装置は、現実世界における「常識」や「大人の欺瞞」の象徴です。観客に心地よい解答を与えるのではなく、あえて不条理や居心地の悪さを突きつけることで、観る側の内面にある依存心や残酷さをあぶり出す――この徹底した演出哲学が、四半世紀を経ても風化しない衝撃を生み出しています。