天井から水が漏れてきた際、被害者が最初に見極めるべきは「その水が建物の外部から侵入したものか、内部配管から溢れたものか」という根本的な発生源だ。これを取り違えると、責任を追及すべき相手や適用できる保険の枠組みが根底から覆る。
現場における天井水漏れ原因究明では、まず雨漏りと水漏れの違いを正しく識別する。雨漏りは、屋上防水層の経年破断、外壁タイルのクラック(ひび割れ)、サッシまわりのシーリング劣化によって、降雨時や台風時に外部から雨水が侵入する現象を指す。一方、水漏れ(漏水)は、建物内部を通る生活用水の配管破損や器具の故障によって発生するため、天候に関係なく晴天の昼間や乾燥した真冬の深夜であっても容赦なく発生する。
住宅内で発生する水漏れの決定的な原因は、大別して以下の3パターンに集約される。
一つ目は、床下に埋設された給排水管劣化破損だ。1970年代から1990年代に建設されたマンションでは、給湯管に銅管、排水管に白ガス管や鋳鉄管が多く使用されていた。これらの金属管は、内部を流れる温水の摩擦や水質変化、あるいは経年腐食によって「ピンホール」と呼ばれる微小な孔(あな)が開く。ピンホールから噴き出した加圧水は、コンクリートスラブのわずかな隙間を伝い、下階の天井石膏ボードを濡らして表面化する。
二つ目は、上階住民の「人為的過失」による溢水(いっすい)事故だ。全自動洗濯機の給水ホースが水圧で蛇口から脱落した、浴室の排水口に毛髪が詰まった状態で給湯を止めるのを忘れて就寝した、あるいはトイレのロータンク内の浮き球が外れて便器外へ汚水が溢れ出した、といった事例が後を絶たない。
三つ目は、キッチンシンク下や洗面台下の蛇腹ホースの抜け・亀裂だ。排水トラップの接続バンドが緩み、住人が気づかないまま日々の生活排水が床下へ数週間にわたり染み出し、ある日突然、下階の天井へ黒カビ混じりの悪臭を伴う水となって出現するケースである。