インターネット上の簡易レシピ等で頻繁に見かけるものの、実際には肉質を損ねてしまう代表的な誤解が「焼く直前の塩振りのタイミング」です。「下味をつけるために焼く30分前に塩を振って置いておく」という手法は、マグロステーキにおいては逆効果になります。
マグロに塩を振って10分以上放置すると、強い浸透圧によって内部の細胞から水分とともにグルタミン酸などの旨味成分が過剰に流出してしまいます。臭み抜きの目的で塩を振る場合は、「塩を振って5分後に浮き出た水分を完全に拭き取る」か、下味としての塩コショウであれば「フライパンへ投入する30秒前」に振るのが調理科学上の正解です。
さらに、安価な植物油で焼くよりも、少量のマヨネーズを薄く表面に塗ってから焼く裏技も有効です。マヨネーズに含まれる乳化された植物油と卵黄が表面をコーティングし、タンパク質の急激な凝固を和らげながら、コクのある焼き上がりをアシストします。