一般に「温暖で雨が少ない」とされる瀬戸内海気候だが、この言葉をそのまま呉の気象環境に当てはめるのは危うい。呉市宝町に置かれたアメダス呉(気象庁の地域気象観測システム)の観測記録をつぶさに紐解くと、海風が運ぶ高湿度と、背後に迫る山並みがもたらすフェーン現象気味の昇温が頻繁に記録されている。
海抜数メートルの港湾部と、急傾斜地に家々がびっしりと立ち並ぶ両城や宮原といった丘陵部とでは、同じ時間帯でも体感温度が2度から3度近く乖離する。冬場は瀬戸内の穏やかな凪が一転して冷たい突風に変わり、夏場は熱気が逃げ場を失って夜間まで熱帯夜が続く。アメダス呉の数値はあくまで基準点であり、自分の生活圏が海に近いのか、山を背負っているのかを踏まえてデータを補正して受け止める視点が欠かせない。