「規格サイズで作ってくれれば売れるはずだ」と消費者は考える。だが、日本の住宅建材産業において、障子はアルミサッシとは根本的に異なる思想で作られてきた。
木造家屋は生き物だ。新築から数年も経てば、地盤の微動や木材の乾燥収縮によって柱が傾き、敷居や鴨居は微妙に波打つ。たとえ設計図通りの寸法で作った真四角の枠を持ち込んでも、現場では引っかかって動かないか、隙間風が吹き抜けるのがオチだ。
かつて『大改造!!劇的ビフォーアフター』などの番組で、熟練の職人がカンナ一本で現場の狂いに合わせて削り合わせていた姿を覚えているだろうか。現場調整を前提としない「完成品の量産」が成り立たない理由がここにある。数ミリの歪みを現場で削り落とす前提知識がない一般客へ向けて、既製品の障子を棚に並べることは、量販店にとって致命的な返品リスクを抱え込むことに他ならない。