五条大橋での運命的な出会いから、平家打倒の険しい道のりまで、常に主君を支え続けた怪力無双の僧兵、武蔵坊弁慶。NHK大河ドラマ『義経』をはじめ、数多の歴史劇で描かれてきた源義経との絆は、今なお日本人の心を捉えて離さない。
清水寺本堂に置かれた鉄の杖は、民衆の間で「弁慶が使っていた武器」として語り継がれてきた。しかし、歴史の記録を丹念に紐解くと、興味深い史実が浮かび上がる。実はこれらの鉄器、明治時代中期に吉野修験道の修行者たちが奉納した神聖な法具なのだ。当時の人々がその規格外の大きさに圧倒され、畏敬の念を込めて「弁慶ゆかりの品」と呼び始めたことが、今日に続く伝説の原点となった。