第一空挺団への配属を希望しても、誰もが訓練のスタートラインに立てるわけではありません。まず自衛官として部隊勤務を経験したのち、極めて厳格な身体適性検査と体力検定をクリアする必要があります。
防衛省の募集要項によると、入隊には年齢30歳未満(選抜区分による特例あり)であることに加え、以下のような基準が課されます。
- 血圧:収縮期140mmHg以下、拡張期90mmHg以下
- 呼吸機能:肺活量3,200mL以上
- 運動能力:懸垂・腕立て伏せ・腹筋・3,000m走などで構成される空挺適性体力検定で高い評価を獲得すること
- 脊椎・関節機能:着地の激しい衝撃に耐えうる骨格・関節の異常がないこと
選考をパスした隊員を待ち受けるのが、習志野で行われる約5週間の「基本降下課程」です。名物として知られる高さ11メートルの「飛び降り塔(跳出塔)」訓練では、人間が本能的に最も恐怖を感じるとされる高度から躊躇なく飛び出す跳出姿勢を身体に徹底的に叩き込みます。着地時の衝撃は「2階の屋根から飛び降りる」に等しく、足首や膝の正しい接地面を極める着意訓練を何百回と反復します。
この試練を乗り越え、実機(C-130HやC-2輸送機)からの所定回数の降下を完遂した者だけが、胸元に輝く誇り高き「空挺き章(バッジ)」を授与されます。さらに、部隊内で幹部や先鋭として活動するためには、自衛隊最難関とされる「空挺レンジャー課程」の修了が必須です。食料を制限された山中で不眠不休の行軍と遊撃戦を行う過酷さは、数あるレンジャー訓練の中でも頂点に位置付けられています。
なお、長年男性隊員に限られていた空挺部隊ですが、陸自の女性自衛官に対する配置制限解除に伴い、2020年に初の女性空挺隊員が誕生しました。体力基準の緩和を行わない同一条件の厳しい訓練を突破した女性隊員が複数現場で活躍しており、部隊の多様性と強靭さを証明しています。