インターネットの検索窓や知恵袋などのQ&Aコミュニティでは、今なお「無洗米はまずい」「パサパサして硬い」「香りが足りない」といったネガティブな口コミが散見されます。しかし、食品科学の観点および炊飯テストの現場検証から導き出される結論は明快です。その不満のほぼ100%は、お米自体の品質ではなく「白米用の計量カップを使ったことによる水加減の狂い」と「浸水不足」に起因しています。
白米と無洗米の決定的な罠は、1合あたりの米粒の密度にあります。白米は表面に肌糠が付着しているため、計量カップに入れた際に米粒同士の間にわずかな隙間が生じます。一方の無洗米は肌糠が削ぎ落とされている分、隙間なくぎっしりとカップ内に米粒が詰まります。その結果、白米用の通常カップ(約180ml)で同じようにすりきり1杯を量ると、無洗米の方が重量ベースで約5%(約8〜10g)も多く米が入ってしまうのです。
米の量が多いにもかかわらず、炊飯器の内釜にある通常の「白米の水位線」通りに水を入れて炊けば、必然的に水分が大幅に不足します。結果として芯が残ったり、パサついて固くなったりするのは当然の物理現象です。
さらに見逃せないのが「浸水時間」です。京都の老舗米屋「八代目儀兵衛」の松原氏ら専門家が指摘するように、無洗米は表面が乾燥しているため、中心部までしっかりと水分を行き渡らせるプロセスが仕上がりを大きく左右します。浸水時間の目安は、夏場で30分以上、水温が下がる冬場は最低でも60分から90分程度の十分な時間を確保するのが理想的です。
また、水を注いだ瞬間に白く濁るのは糠ではなく、乾燥したお米の表面にある気泡やデンプン質の粒子が水中に溶け出している現象です。無洗米協会でも「濁ったままで炊いても衛生面・食味ともに一切問題ない」と保証していますが、どうしても仕上がりのヌメリ感や粉っぽさが気になる場合は、「炊飯前に一度水を注ぎ、かき混ぜずにサッと1回だけ水を捨てる」というプロのひと手間を加えるだけで、雑味が抜け、驚くほど澄んだ香りとシャープな輪郭の炊きあがりが手に入ります。