米司法省および内国歳入庁(IRS)が公表した膨大な捜査報告書は、水原氏が足を踏み入れた違法賭博の底知れぬ暗闇を克明に記録しています。2021年秋から始まった賭けは瞬く間に制御不能に陥り、負け額を取り戻すために賭け金を釣り上げる悪循環に呑み込まれていきました。
送金システムの盲点を突いた手口は極めて計画的でした。水原氏は大谷選手の口座開設を手伝った際に得た個人情報を悪用し、銀行のアカウント情報に登録されていた連絡先メールアドレスや電話番号を密かに自らの端末へと変更。不正取引を検知した銀行からの確認アラートが大谷選手本人に届かないよう遮断していました。さらに、銀行窓口への電話確認に対しては大谷選手本人になりすまして応答し、電信送金を強引に承認させていた事実が音声記録の解析から浮き彫りになっています。
さらに捜査の手は水原氏の私的な金銭詐取にも及びました。大谷選手のクレジットカード情報を不正利用し、約6万ドル(約900万円)の歯科治療費を支払わせていたほか、大谷選手の名前を使って高額な野球カードを密かに購入・転売しようとしていた事実も判明。専属通訳という特権的な地位を私腹を肥やすための道具へと変貌させていた冷徹な手口は、法廷証拠として次々と確定していきました。