ロングコートダディM-1全軌跡|肉うどんからマラソン、激闘の真相

ロングコートダディM-1全軌跡|肉うどんからマラソン、激闘の真相

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お笑いファンの間で今なお議論されるのが、2024年のラストイヤーにおける準決勝敗退の理由です。前年の決勝3位という実績を引っ提げ、優勝の大本命と目されながら、なぜ彼らは決勝の舞台へ返り咲くことができなかったのでしょうか。

ネット上では「ネタ選びをミスしたのではないか」「審査員との相性の問題か」といった様々な憶測が飛び交いました。しかし、予選関係者への取材や当時の客席の反応を詳細に分析すると、そこには「M-1の4分間フォーマット」と「ロングコートダディの真骨頂」との構造的な乖離が存在していました。

近年のM-1予選、特に準決勝の審査においては、4分間という極めて短い制限時間の中で「どれだけ高密度のボケを詰め込めるか(手数)」「開始30秒以内の爆発力があるか」が重視される傾向が強まっています。しかし、ロングコートダディの漫才は、最初の1分〜1分半でじっくりと世界観を構築し、観客がその空気感に馴染んだ後半に向けてジワジワと笑いを増幅させていく「蓄積型」の構成を得意とします。

ラストイヤーの準決勝でもネタのクオリティ自体は極めて高く、会場のウケも良好でした。しかし、一撃必殺のフレーズを連打する後輩芸人たちの猛攻の中で、彼らの持ち味である「贅沢な間」や「会話のリアルな揺らぎ」が、審査基準の加点方式とわずかに噛み合わなかったのです。これは決してネタの優劣ではなく、賞レースという特殊な競技性ゆえに生じた巡り合わせでした。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。