2000年代を通じて日本中を包み込んだ国民的アンセムは、2011年3月11日に発生した東日本大震災によって大きな転換点を迎えます。東北地方を中心とする太平洋沿岸部を未曾有の大津波が襲い、甚大な被害と多くの尊い命が失われました。
震災後、サザンオールスターズおよび桑田佳祐氏は、被災された方々の心情やトラウマ、計り知れない悲しみに寄り添い、ライブにおいて『TSUNAMI』を歌わないという選択を自主的に下しました。曲名や歌詞に含まれる「津波」という言葉が、被災地のリスナーに対して直接的なフラッシュバックを引き起こすリスクを極めて重く受け止めた結果です。
桑田氏は自身のラジオ番組などでも、楽曲そのものへの愛着を否定することなく、被災者の心情を最優先に考える真摯なスタンスを一貫して示してきました。ステージ上で無邪気に歌い上げるべきではないという表現者としての倫理観と、被災地への深い敬意こそが、歌唱封印と呼ばれる決断の真相です。