彼の軽妙な語り口や突飛なアクションは一見、行き当たりバッタリの思いつきに見えるかもしれない。しかし、その根底には若き日に培われた本格的な演劇の下地が存在する。20代半ばで劇団東京ヴォードヴィルショーに参加した彼は、舞台の上でコメディの基礎と間(ま)の取り方を徹底的に叩き込まれた。
その後、共に劇団を立ち上げた柄本明らとともに劇団東京乾電池の結成に関わり、アングラ的でエッジの効いた演劇空間で異彩を放つことになる。一度は会社員として働き、妻子を養うために泥臭く汗を流した下積み経験もある。この「社会人の現実」と「前衛的な舞台」の両方を知る経験が、彼の笑いに絶妙なリアリティと毒、そして大人の上品さをもたらしているのだ。