音楽ファンの間で当たり前のように親しまれている愛称「せっちゃん」。一見すると、本名の「和義(かずよし)」や「斉藤」のどこにも「せ」の文字は見当たらない。この愛称のルーツを辿ると、デビュー前の下積み時代にまで時計の針が巻き戻る。
真相は、あまりにも彼らしいユーモアと下ネタに満ちていた。まだ何者でもなかった若き日の斉藤和義。先輩ミュージシャンやスタッフとの酒の席で、開口一番「セックスがしたい」と悪びれもせず連呼していたことから、「セックス好きのせっちゃん」という破天荒な名付けがなされたのが事の始まりだ。それがやがて短縮され、「せっちゃん」として定着した。
気取った格好つけを嫌い、人間の欲望も弱さも包み隠さず楽曲に落とし込む姿勢。その原点とも言えるエピソードだ。栃木の高校時代にギターと出会い、歪んだアンプの音に救われた少年は、そのままの飾らない体温を保ったままプロの世界へ飛び込んだ。この人間味が、彼の描く歌詞のリアリティを支える強力な骨組みとなっている。