暖簾をくぐると、独特の熱気が全身を包み込む。カウンターの中で立ち回る職人たちの無駄のない動きと、常連客が杯を交わす低い会話の重なり。この場所で絶対に外せないのが、長年愛され続ける二大看板料理だ。
まずは名物のうなぎ蒲焼。注文を受けてから熟練の技で焼き上げられる鰻は、表面がパリッと香ばしく、身は驚くほどふんわりと解けていく。創業時から大切に継ぎ足されてきた秘伝のタレは、甘さを抑えたキレのある味わい。酒の肴にも飯のお供にも、極上の余韻を残す逸品だ。
そして、もう一つの主役が川魚料理のイメージを一変させる鯉のあらい。淡水魚特有の臭みは皆無で、氷水でギュッと締まった身のコリコリとした歯ごたえが心地よい。自家製の特製酢味噌をたっぷりつけて口に運べば、爽快な旨味が広がり、冷えた日本酒やハイリキが驚くほど進む。