長年、港の食事処といえば「安くてボリューム満点」が売りのひとつだった。しかし、燃油価格の高騰や漁獲量の変動に直面する現場では、今や「適正価格で価値を売る」モデルへの転換が急速に進んでいる。一盛り1,000円前後の大衆食堂スタイルを残しつつも、1食3,000円から5,000円を超える「プレミアム競りたて御膳」などの高価格帯メニューが次々と登場し、高い支持を得ている。
「安売りをやめたことで、漁師への還元率が跳ね上がった」。ある港の組合関係者はそう明かす。価格の裏にあるストーリーや、命がけで海に出る漁師の労働価値を正当に評価する文化が、食卓側にも浸透しつつあるのだ。