公判廷で検察側が明らかにした犯行の動機は、余りにも身勝手で残虐な論理に貫かれていました。遠藤裕喜は逮捕後の取り調べや裁判員裁判の法廷で、犯行に至る感情の推移を生々しく語っています。
「長女に振り向いてもらえず、自分を拒絶された」「生きているのが嫌になったが、死ぬ前に長女の目の前で家族を殺害し、一生消えない絶望を与えてやりたかった」。法廷に響いた遠藤の供述内容は、失恋の苦しみを相手への破壊衝動へと直結させた異常な思考プロセスを示していました。
凶行は突発的な発作ではなく、周到に計画されていました。遠藤は事前にガソリンやナタ、催涙スプレー、ライター用オイルなどを綿密に準備。2021年10月12日未明、長女の自宅へ侵入し、就寝中だった長女の両親(当時55歳の父親と50歳の母親)を刃物で相次いで刺殺しました。さらに家に火を放って全焼させ、鉢合わせた次女に対しても危害を加えています。二人の娘を生き残らせ、最も愛する家族を奪うことで「最大の精神的苦痛を背負わせる」という冷酷な企図が裁判審理で浮き彫りとなりました。