インターネット上の英語学習コミュニティやSNSでは、「リュックサックという言葉は英語圏で完全に間違い」「使ったら笑われる」といった極端な言説が散見されます。しかし、社会言語学的な実態調査を行うと、この主張には一定の誤解が含まれています。
イギリス放送協会(BBC)のニュースアーカイブや英国のECサイト(オックスフォード大学出版局の語彙コーパスを含む)を検証すると、英国およびアイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなどの英連邦諸国では、現在も「rucksack」が一般名詞として日常的に流通しています。現地のアウトドアショップだけでなく、一般の衣料品店でも通学・通勤用バッグのカテゴリー名として普通に棚に並んでいます。
本当の盲点は「言葉そのものの正否」ではなく、以下の2点に集約されます。
第一に、「リュック」という2文字の略称は100%日本国内でしか通じない和製略語であること。第二に、日本人が無意識にイメージする「タウンユースのおしゃれなリュック」を北米で「rucksack」と呼ぶと、軍用アリスパックのような極めて武骨で巨大な装備品を連想させてしまうミスマッチが生じる点です。