多くの編み手が直面するトラブルが「増し目をした部分に穴が開いてしまう」という現象です。この増し目に穴が開く理由は、糸の物理的な張力と構造に明確な原因があります。
棒針編みで目と目の間の渡り糸(シンカーループ)を持ち上げてそのまま編むと、前段の編み目から糸が横方向に強く引っ張られます。その結果、直下の目が引き伸ばされて大きな空間が生まれ、編み地に透かし目のような空洞が発生するのです。
このトラブルを根本から解消するアプローチは以下の3点です。
- シンカーループを必ず逆方向にねじる:渡り糸をすくい上げた際、針にかかるループの奥側(バックループ)に針を入れてねじりながら編むことで、糸の交差が穴を物理的にブロックします。
- 前段の編み目の壁を直接すくう:渡り糸ではなく、前段の目自体の右側または左側の半目を拾って編む「編み目すくい増し目」を採用すると、周囲の編み目を緩ませずに目を増やせます。
- 針先だけで糸を引かず、針の太さ(径)を均一に使う:増し目を行う瞬間だけ針のテーパー部分(先端の細い部分)で目を小さく作ろうとすると、次段を編む際に逆に突っ張って隣接する目が広がる原因になります。針のストレートな胴体部分できっちりループの大きさを揃えるのが鉄則です。