少子化論争で頻繁に持ち出されるのが、独身・子なし世帯の年金・税金における損得論です。「子供を育てていない層は、他人が育てた子供が将来納める税金や年金保険料にタダ乗りしている」という主張は、果たして公平な見方なのでしょうか。
税制と社会保障の構造を客観的に紐解くと、異なる事実が浮かび上がります。
- 児童手当・所得控除の恩恵:子育て世帯には扶養控除や児童手当、保育無償化などの優遇策が講じられている一方、子なし世帯はこれらの恩恵を一切受けられず、より重い実質税負担を負っている。
- 現役世代としての高額納税:高所得のDINKsや単身者は、所得税・住民税・社会保険料を満額納めることで、現行の子育て支援予算の財源を強力に支えている。
つまり、子なし層における税金・負担格差の視点から見れば、金銭的コストを先払いして社会を支えているとも評価できます。「子供を育てて年金制度の担い手を増やす貢献」と「高額な税金を納めて現行制度を支える貢献」の双方が存在しており、単純な損得勘定で白黒をつけることはできません。