日本におけるシールの熱狂を語るうえで、昭和から平成を席巻した「ビックリマン」の存在を外すことはできない。48ミリ四方の四角い空間に施されたホログラムやプリズムの輝きは、子どもたちを熱狂させ、社会現象と呼べるほどの中毒性を生み出した。四角い紙片に宿るプレミアム価値の原点は、すでにあの時代に完成していたと言える。
その魔力は現代のエンタメビジネスにおいても少しも色褪せていない。空前の興行収入を叩き出した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』公式ノベルティ企画で配布された劇場来場者特典のシールやカードは、観客の所有欲を猛烈に刺激し、リピーターを劇場へ走らせる起爆剤となった。デジタルチケットや配信が当たり前になった時代だからこそ、現場に足を運んだ証拠として手渡される物理的なシールの重みが、ファンの記憶を固定する強力なアンカーボルトとして機能している。