黒松の育成で最も混乱しやすいのが「芽摘み」と「芽切り」の違いです。この2つは目的も時期も全く異なります。
芽摘み(ミドリ摘み)は、4月〜5月頃に新芽(キャンドルのように直立したミドリ)が伸びてきた際、強すぎる芽の先端を指先でポキッと折る作業です。樹の上部ばかりが強くなるのを防ぎ、下枝に力を均等に配分する効果があります。
一方、芽切りは黒松独特の高度な技法で、6月中旬から7月上旬にかけて春の新芽をハサミで根元から完全に切り落とす作業を指します。あえて新芽をリセットすることで、樹に「2番芽」を出させ、秋までに葉の短い引き締まった小枝を密生させることができます。
失敗しない最大のコツは、「樹勢が弱い木には絶対に芽切りを行わない」という決断です。芽切りは樹に強い体力を要求するため、前年に植え替えたばかりの木や葉色が薄い木に対して強行すると、2番芽が出ずにそのまま枯死する危険があります。樹の状態を冷静に見極める眼配りが成否を分けます。