ネット上で最も広く知れ渡っているのが『となりのトトロ』にまつわる「死神説」だ。サツキとメイは物語の途中で命を落としており、トトロは彼女たちを冥界へ案内する死神、そしてネコバスは霊柩車であるという陰惨なストーリーである。後半になると姉妹の影が薄くなる演出や、昭和30年代に起きた実際の事件との奇妙な符号が、もっともらしい証拠として長年拡散されてきた。
しかし、この噂に対してスタジオジブリは過去に公式ブログ等で明確に否定している。「後半で影が消えているのは、作画上の都合で省略しただけ」というのが制作現場のリアルな証言だ。宮崎駿監督が描こうとしたのは、昭和の豊かな自然と子供たちの純粋な生命力そのものであり、ダークファンタジー仕立ての怪談ではない。それでもなお影の不在に別の意味を見出してしまうのは、観客が映像の美しさにどこか不穏な神聖さを感じ取っている証拠だろう。