ヒトの消化液の中で、三大栄養素(炭水化物・脂質・タンパク質)のすべてを分解できる消化酵素を含んでいるのは膵液だけです。唾液や胃液、胆汁、腸液と比較しても、その消化能力の高さは群を抜いています。
膵液に含まれる主要な消化酵素と分解対象は以下の通りです。
- 膵液アミラーゼ:デンプン(炭水化物)をマルトース(麦芽糖)に分解する。
- 膵リパーゼ:胆汁酸によって乳化された中性脂肪(トリグリセリド)を脂肪酸とモノグリセリドに加水分解する。
- トリプシン・キモトリプシン:タンパク質やポリペプチドをペプチドに分解する。
- ヌクレアーゼ:核酸(DNA・RNA)をヌクレオチドに分解する。
ここで試験対策上、絶対に落とせないのが「自己消化の防止システム」です。強力なタンパク質分解酵素であるトリプシンが膵臓の中で活性化してしまうと、自分自身の組織を溶かしてしまい、重症の急性膵炎を引き起こします。
そのため、膵臓の腺房細胞で作られた段階では、活性のない不活性前駆体「トリプシノーゲン」として分泌されます。十二指腸の内腔に到達して初めて、小腸粘膜上皮に存在する酵素「エンテロペプチダーゼ(エンテロキナーゼ)」の働きによって活性型の「トリプシン」へと変換されます。この厳重な二段階スイッチの構造も、国試で頻繁に問われる重要ポイントです。