角ハイボールのCMは単なるイメージキャラクターの起用にとどまらず、映画のような世界観を構築しているため、キャスト交代のタイミングには常に大きな注目が集まります。そこには、出演者のプライベートの変化と、企業の緻密なマーケティング戦略が密接に絡み合っていました。
初代の小雪から菅野美穂への交代は、2011年の小雪の結婚および第1子妊娠・出産が大きな契機でした。撮影スケジュールの都合に加え、サントリー側としても「居酒屋で若者が気軽に頼める飲み物」へとハイボールを大衆化させるため、より親しみやすい菅野美穂のキャラクターを求めていたタイミングと合致した形です。
続く菅野美穂から井川遥への交代では、ブームが定着した角ハイボールに再び「大人の情緒と上質感」を取り戻す狙いがありました。30代〜40代の大人の男女が憧れるアイコンとして、当時圧倒的な美しさで再ブレイクしていた井川遥の起用は、ブランド価値の再構築に見事成功しました。
そして井川遥から倉科カナへのバトンタッチは、10年に及ぶ長期シリーズの円満な節目と、さらなる世代交代を見据えたものです。重厚なバーの雰囲気から、よりカジュアルで風通しの良い空間へとシフトさせることで、次の時代に向けた新しい角ハイボール像を提示しています。