「たけのこのアク抜きには米ぬかと唐辛子が必須」という固定観念は、いま静かに覆されつつある。料理研究家の土井善晴氏は、新鮮なたけのこであれば過度な添加物を加えず、清らかな水と適切な火加減だけで素材本来の甘みと香りを引き出す簡素な下茹でを提唱してきた。
全国農業協同組合連合会(JA全農)の広報部が発信した情報でも、米ぬかが手元にない場合の代替策として、米のとぎ汁や大さじ数杯の生米、あるいは小麦粉を用いたアク抜き法が紹介され、大きな反響を呼んだ。米ぬかに含まれるカルシウムやデンプン粒子がえぐみ成分を吸着するメカニズムは科学的に実証されているが、要はデンプン質が水中に存在すれば同様のマスキング効果は十分に得られる。
皮に深めの切れ目を一本入れ、穂先を斜めに切り落としたら、かぶる程度の水と一握りの米(またはとぎ汁)を入れて火にかける。沸騰したら落とし蓋をし、弱火でじっくり1時間。根元に竹串がスッと通れば火を止め、煮汁の中で完全に冷めるまで半日ほど休ませる。この「ゆっくり冷ます」過程で、アクが外へと抜け、水分が組織へ戻っていく。